映画「ダムマネー」の感想

投資映画

動画配信で映画「ダムマネー」を鑑賞したので、感想をメモ。

2021年1月のゲームストップ株事件をもとにした映画。

SNSで連絡を取り合った個人投資家たちがゲームストップの株価をつりあげて、空売りしていたヘッジファンドに大損失を与えた。

→ GameStopのショートスクイズ

ゲームストップという会社は、米国や欧州でゲームソフトやエンタメ商品を販売しているチェーン店。

ゲームソフトがオンライン・ダウンロードに移行する時代の中で、先行きは暗いと思われていた。それにくわえて、2020年のコロナが打撃となり、2021年1月期は、1ドル150円換算にして、売上は約7500億円で営業損失は300億円程度。その前年は約600億円の赤字。22年は約500億円の赤字。

つまり、一言でいって、ウォール街の機関投資家が「空売りするのは当然」というべき会社だった。

しかし、株インフルエンサーのキースがゲームストップを買い推奨して、個人投資家が飛びつく。

ここでのポイントは、ウォール街のヘッジファンドが大量の空売りしているため、ヘッジファンドと闘うことを呼びかけたところ。

金持ちにたいする庶民のルサンチマンを刺激することで、津波のように個人投資家を引き寄せた。

そして、ゲームストップ株の株価は1月だけで190倍になり、時価総額は約7兆円(1ドル150円換算)を超えた。

映画の中では、参加している個人投資家たちが、異常に値上がりした株価を前にして売ろうか売るまいか苦悩する姿も描かれる。

しかし、彼らの多くは売らなかった。売らなかったから株価は上がり続けたわけだが。

なぜ売らなかったのか。「むかつく金持ち(特権階層)と闘う」という大義があったからだ。それにくわえて、主導者のキースがポジションをネット公開して、ゲームストップ株を「売っていない」ことを伝えたことが大きい。追従者たちに安心感と勇気を与えた。

大義がありリーダーがいると、ここまで大衆の行動は狂気を帯びる。

あえて「狂気」といったのは、未来のないボロ会社が時価総額7兆円を超えるまで「売らずに保有できる」という意味での狂気。

ちょっと怖いなと思った。

個人がわずかな手元で行う株式投資は、自分の将来・人生を賭けている利己的なもの。それでも、大義とリーダー次第で、人々はありえない行動を取る。

集団による狂気といえば、歴史上の数々の惨禍が思い浮かぶけど、ゲームストップ株事件も構造は同じだ。

今でもゲームストップ株は高い

映画を見てゲームストップ株に興味をもったので株探で調べた。

ゲームストップ(株探)

2025年2月現在の株価は、2021年1月の狂気の株価から比べて、5分の1程度。時価総額は1兆6千億円ほど。

てっきり100分の1、200分の1まで下がっているかと思ったら、ずいぶんと高い。

昨年の2024年には、瞬間的にではあるが、狂気の株価のなんと2分の1程度まで回復した。

業績はというと、ぎりぎり最終黒字の収支均衡線。売上を減らしながらの黒字化なので、徹底的にリストラしているのだろう。

企業WEBサイトをみると、トレーディングカードの情報がトップにあったので、それらの商材が業績を支えているのかもしれない。

それと、2024年に財務キャッシュフローで約4500億円(1ドル150円換算)を調達している。ニュースを確認すると、増資を行った模様。

手元キャッシュが6000億円を超えていて、業績は収支均衡。こうなるとボロ株とはいえない。それでも株価はずいぶんと割高だと思うが。

世界的に有名な銘柄となったので、新規の買い手には事欠かないし、空売りするのは恐怖心がともなう。株価が高止まりする銘柄へと性質を変えたのだろう。

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