ワンキャリア(4377):中計の先の成長はあるか

大学生の就職活動に関わる口コミを売りにしてシェアを伸ばしてきたワンキャリア。

就職サイトとしてはマイナビ・リクナビが二大サービスだったが、リクナビが急速にシェアを下げてきて、ワンキャリアはマイナビに次ぐ2番手のポジションにあるという。

ワンキャリアは2021年に上場してから40%程度の売上成長を続けている。今期24年12月期予想の売上は55億。

中計では、26年12月期に売上100億円以上、営業利益30億円を目指すという。通常であれば、高いハードルなわけだが、今までの高成長が続きそうな気配なので、充分に手が届く感じ。経営陣も自信をもっている感じ。

それだけに、時価総額も280億円程度で、充分に成長を織り込んでいる株価になっている。

問題は、27年12月期以降も成長が続くかどうか。

人材業界は、平均PERが10倍程度と低い。もともと参入障壁が低く、今後の長期成長も業界として見込めないからだと思われる。

それだけに、ワンキャリアの現在のPERは30倍以上なので、中計達成を完全に織り込むレベルまで高くなっている。

中計の翌年、27年12月期以降も成長が続くかどうか。さらなる株価上昇のためには、そこが鍵になる。

そこでポイントとなるのが、新卒採用領域の市場規模。ワンキャリアの決算説明書に毎回記載してあるが、その規模は1400億円程度だという。さらにその中の「求人サイト/イベント/スカウト」領域の市場規模は700億~800億円。ここが主戦場。

ワンキャリは新卒の就活に欠かせない存在となっているので、売上150億程度までは自然体でいけるのではないか。

それ以上の成長は、ワンキャリアが2本目の柱として育成している若手転職サービス「ワンキャリアプラス」にかかっている。

新卒就職活動のワンキャリアで使ったIDのままワンキャリアプラスが使えるということで、新卒の会員をそのまま潜在顧客にできる。ユーザーからみても、登録にたいして心理的なハードルが低い。

新卒の3割程度は3年以内に転職するので、若手に強い転職サービスとして成長するかもしれない。

転職が当たり前の時代になってきたし、会社で嫌なことがあるたびに誰でも転職が頭によぎるわけだが、新卒就活サイトのIDがそのまま転職に使えるなら、「ワンキャリアプラスでスカウト情報見ようかな?」となるのは必然。

だとすると、成長余地はかなり大きくなる。ワンキャリアは仕事人生の最初の段階で人材を補足できるわけだから、将来的に転職業界で大きな存在になるかもしれない。

新卒はたかだか40万人の市場であり、若年人口の急減で先細りなわけだが、ここを抑えることが転職市場300万人のカギとなるかもしれない。

ということで、ワンキャリアは長期的にはかなり面白い銘柄だと思う。中長期でじっくり持ちたい銘柄。

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