ティーケーピー(3479):貸会議室ビジネスの未来

貸会議室大手のティーケーピー。25年2月期2Qの決算発表でネガティブインパクトがあり、株価は1500円前後から1200円前後に落ちた。

売上・営業利益ともに今期は最高値を予想していたが、2Qの数字は前年並みで、達成は難しいと思われる。

単に、今期の数字達成が難しいというレベルではなく、貸会議室ビジネスに暗雲がただよっている。

新型コロナの影響はすでにまったくないはずだが、貸会議室の売上はコロナ前にまったく届かない。

にもかかわらず、四半期で100億近い売上を出せているのは、アパホテルのフランチャイジーとして宿泊事業を拡大してきたから。これがなかったら危なかった。

逆にいえば、ホテルビジネスは急成長して絶好調なのに、貸会議室ビジネスが足を引っ張っていて、会社全体としてはほとんど成長していない状態。

数字を積み上げるはずの買収会社リリカラも業績を大きく下方修正していて、泣きっ面に蜂。

とにかく問題は、貸会議室ビジネスの未来だ。従来は採用にしてもセミナーにしてもIRにしても、貸会議室を利用していた。しかし最近は、それらの用途でオンラインが当たり前になりつつある。

コロナ禍が終わって需要が戻るどころか、オンライン化の波が加速しているのだった。

貸会議室の需要は急減していて、その傾向は今後も続くと思われる。ホテル事業をがんばることで、なんとか横ばいという状態になりそうだ。

チャート的には底値圏にあり、今期予想PERは9倍程度。ティーケーピーの名物社長である河野氏は相当のやり手。そうなると、買いたくなるような株で、手を出してしまった人は多い。現在160万株の信用買い残が積み上がっている。

買ってしまった人は、なぜこの株が上がらないのか首をかしげているかもしれない。

よく考えてみよう。貸会議室の減少をホテルの成長でまかなう形である以上、今期1Q2Qと同レベルの業績が続くのではないか。だとすると、四半期ごとの営業利益は10億ちょっとが精一杯だ。

年間で50億円程度の営業利益。税効果を抜きにすると25億の最終利益。現在の時価総額は約500億。PERは約20倍。

ホテル不動産業界の競合と比較するとまったく割安ではないのだった。しかも無配で、株主還元も優待のみだ。

かつての人気銘柄がまったく底値圏から動かないのも当然といえよう。

主事業の貸会議室ビジネスに異変が生じている以上、今後の見通しも暗いと言わざるを得ない。

たまたま貸会議室ビジネスの減少がない四半期とか、わずかに業績が伸びているように見える四半期が今後あっても、時代の流れとしてオンライン化が進んでいる以上、機関投資家は戻ってこないのではないだろうか。

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